経営理念にもある通り、アサヤは「三方よしの三百年企業」を目指しています。
「三方よし」とは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という近江商人の言葉で、
三方にとって喜ばれる商売であってこそ、企業は永続できるという教えです。
地方で事業を営んでいる企業にとっては、地域との繋がりは切っても切り離せません。
働いている社員も地元雇用がほとんどですし、お客様も昔から地元にいる方ばかりです。
地域からの信頼を集めるということは、巡り巡って事業の発展にも繋がると考えています。
観光振興
気仙沼市は東日本大震災で甚大な被害を受けましたが、震災復興を計画する中で、
水産業に加えて、観光業を新しい産業の柱にしていくことを意思決定しました。
これは、人口減少への打ち手として交流人口を増やす、という観点でも重要なことで、
地方創生の総合戦略の中でも施策として掲げています。
この流れを受けて、気仙沼市では「観光と水産の融合」をスローガンとして、
港町ならではの仕事・生活を体験できるプログラム開発に力を入れています。
アサヤも事業者として協力しており、「ちょいのぞき」というプログラム開発に関わっています。
企業視察受入
東日本大震災以降、市外から様々な方が支援にお越しいただいておりますが、
震災から年月が経つに連れて、純粋な支援としての関わり方は少なくなっており、
代わりに、震災復興や地域活性化の取組みに学ぶための視察が増えてきています。
アサヤも津波で大きな被害を受けましたが、当日どのように行動・対処をしたのか、
被災からどのように復旧を進めたのか、漁業の復興にはどのように貢献したのか、
といったお話を外部の方にお伝えして、今後にお役立ていただきたいと考えています。
また、新しく取り組んでいる観光振興についても、外部の方にとって学びになればと思い、
現在の取組みの状況についても、ありのままをお伝えさせていただいております。
漁業啓発
三陸地方にかぎらず、日本の漁業家は深刻な人手不足に直面しています。
2003年には23.8万人あった漁業家人口は、2013年には18.1万人まで減少してしまいました。
アサヤの事業は三陸の漁業との共存共栄で、漁業家が存続できてこそ成り立つ仕事です。
漁業家にずっとお世話になってきた会社として、この人口減少をただ見守っているわけにはいきません。
新しく漁業に関わりたい人を増やし、漁業家人口の維持・増加に貢献していきたい、と考えました。
一方、厳しい環境にいるにも関わらず、浜でお会いする漁師さんは、とても楽しそうに仕事をしています。
私自身が都心で働いていた頃は、満員電車や職場の人間関係で疲弊している人をよく見かけましたが、
自らの身体を動かし、美しい自然と向き合っている漁師さんは、そんなストレスとは無縁のようです。
そこで、漁業も就職の選択肢の一つである、ということを知ってもらうために、
都心で働く方々や地元の子供達に、漁業の楽しさ・やりがいに触れてもらおうと、
子供向けの仕事体験を受け入れたり、漁具を題材にしたクイズを余興でやったりしています。
また、こういった活動を通じて、普段口にしている物が食卓に届くまでの過程を知ってもらって、
三陸の海の幸のファンが増えていくことで、魚介類を買い支えてくれる動きに少しでも繋がれば、
巡り巡って、三陸の漁業家を支えることになるのではないかとも考えています。